…というのは、自分の利害に関わることがらで、判断を誤ればたちまちその結果によって罰せられるようなことがらについて各人がなす推論のうちには、学者が書斎で実際には何も生まない思弁についてなす推論のうちよりも、はるかに多くの真理がありうると思われたからである。
ルネ・デカルト,1637,『方法序説』27頁,山田弘明訳,2010,筑摩書房
活動内容 ~中小型株投資判断~
瀧本ゼミ企業分析パートでは、主に時価総額1000億円以下の企業についての投資判断のリサーチと発表を行います。また、ゼミ生及び、講師のOBの方々による徹底的な議論が行われ、発表者には多くのフィードバックが与えられます。このような活動を通じて、意思決定のための仮説思考を学び、圧倒的なリターンを得るために適切なリスクを取れる人材を目指します。
投資判断のリサーチとは
瀧本ゼミ企業分析パートの具体的活動は「戦略的に、戦略的な企業を見つけ、市場の動きまで読み込んで、投資判断を行う」ことです。投資の世界で言うと、ボトムアップの投資判断です。
投資判断において漫然と判断を下すことはありません。徹底的に調べることで確かな根拠を集める作業を、私たちは「リサーチ」と呼んでいます。主として有価証券報告書などの企業業績情報や、IR担当者に直接問い合わせるIR電話、その他多くの公開されている一時情報を駆使します。過去のゼミ生にはそのような一般的な分析に留まらず、学生それぞれの強みを活かした分析や、独自の実地調査によって説得力ある根拠を集めている人たちもいます。意外な方法で手に入れた証拠が決め手となって投資判断の確定に至ることもあります。経験を積むに従って「ここに〇〇がなければ聴衆が納得しない」と批判的に主張を検討する力が身につき、膨大な企業情報を効率的に、かつ正しく読めるようになっていきます。このようなリサーチ結果をプレゼン資料にまとめ、発表します。
企業を分析する中で、「一見すると素晴らしい経営を行っている企業が、実は負債で首の回らない企業である」ということや、逆に、「世間ではあまり注目されていない企業が、実は恐るべき成長可能性を秘めている」ということが分かることが、よく有ります。このような「世の中が気づいていない事実」にこそ、私達は価値を見出しており、それに気づいた瞬間は格別です。
投資判断の発表とは
ゼミの中心の活動である発表は、「リサーチした銘柄をゼミ生が発表し、OB・OGや他のゼミ生が様々な疑問や意見を投げかける」といった形で進みます。発表には銘柄ピック、仮発表、本発表の三段階があり、複数の発表を通して一つの銘柄への洞察を深めていく形です。本発表の最後には発表が採点され、合格点に満たないことが長く続くと下記のFire制度によりゼミをクビになります。発表の検討には学生・社会人問わず多くの卒業生も参与し、現役でヘッジファンドで働くOBの意見もつぶさに聞ける環境になっています。
炎上とは
漫然と判断を下すことはないと前述しましたが、甘い発表があった場合、投資判断に対して徹底的な反駁を行います。的外れな分析を見逃さない姿勢が瀧本ゼミの特徴ともいえます。他のゼミ生から苛烈とも言える反駁を浴び、投資判断が崩れて最後まで発表できなくなってしまうこともあります。
発表で炎上してしまうと落ち込むのが人の心です。しかし、どんな発表の失敗も、それは発表者の人格・能力の失敗ではなく、成果物の失敗にすぎないのです。そのことを瀧本ゼミ生は全員よくわかっています。だからこそ、相手に敬意を持ったうえで、容赦なくその論理的欠陥や見落としを指摘に行く姿勢が尊ばれています。
Fire制度とは
Fire制度とは一種の自己浄化制度であり、半年の間に少なくとも1回以上合格基準に達する発表ができないと瀧本ゼミから除籍されてしまいます。このため、Fire期限直前になると緊張感をもった発表が殺到する風景も見られます。
また、ゼミの在籍期間は最長2年です。2年間アウトパフォームしつづけ、最後の発表で満点を獲得したものだけが正式な卒業生となります。瀧本ゼミは半年ごとに募集を行っていますが、各期(ジェネレーション)の中でも卒業できるのは1名程度になります。
企業分析パートの文化・魅力
我々は「みんなが知っていることに意味はない」という前提に立ち、たとえ誰でも見ることができる公開情報でも、うまく繋げて解釈すれば、他の人が気付いていない価値ある情報に気付けるという確信のもとに集っています。活動していく中で、世間一般で低く評価されている企業が実は有望な事業戦略を展開しているなどの貴重な知見を得られます。このような知見が報道されることは少なく、検索して簡単に見つかるものでもなく、多くの場合一次情報を徹底的に調べた者だけが辿り着けるものです。私たちのパートではそのような知見が発表会で惜しげもなく共有されると共に、実際の投資家がそれに対して価値を感じるかどうかも間近に見ることができます。評価が年功序列や性別や所属に関係なく成果物で決まるフラットな評価体制も魅力です(これはどこにおいても当たり前のことであるべきなのですが)。また、私たちのパートでは、一度発表してそれでお終い、とはなりません。発表で得られたフィードバックを持ち帰って、もう一度リサーチし直し、次の機会に再び発表することで投資判断のクオリティを上げていくという、各人の能力の違いを踏まえた運営体制を採っています。ただしパフォーマンスが長期間上がらない人は半期ごとに途中退場となります(Fire制度=ゼミ生資格の剥奪)。このゼミで2年間を耐え抜き、卒業する頃には、入る前とはまるで違う視座で日本社会を見通せるようになっていることでしょう。
和気藹々とした雰囲気
ここまでの説明からは、なんだかとても「お固い」もしくは「怖い」活動をしている団体だと思われるかもしれませが、必ずしもそうではありません。瀧本ゼミは「クラブ的で、長く続くネットワーク」を志向しています。普段からゼミ生同士の企業分析抜きの交流もありますし、OB・OGとも、企業分析に限らない様々なトピックについて普段感じている素朴な疑問をぶつけています。ボードゲームの会、サウナの会、筋トレの会など様々なサブグループも生まれ、OB・OGと一緒に趣味に興じる機会も多いです。
対外実績
- CFA Institute Research Challenge 日本大会優勝
- 2013/2015年 外資系投資銀行バークレイズアナリストカップ 優勝
- ゼミをモデルにした「東大ブラック企業探偵団」東大京大で月間売上1位
- 大手メーカー・コンサルティング会社と合同プロジェクト
- ゼミでBUY評価された銘柄は1年で平均43%のリターン
- 2020年 ヘッジファンド・Point72 Hong Kong Case Competition ベスト10