【後編】文三からシリコンバレーでエンジニア!?〜人生を変えた瀧本ゼミの意思決定

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今回は東大文三に入学後、理転し現在シリコンバレーでエンジニアとして活躍されている瀧本ゼミのOBである田中さんのインタビュー第2弾(第1弾はこちらから)。投資分野と一見無関係な理系分野で活躍する田中さんにとって瀧本ゼミで学んだことはどのように活きているのでしょうか。


瀧本ゼミで学んだこと 




—-今までのお話を聞いていると、田中さんの興味の対象が投資分野との親和性が低いように感じたのですが、田中さんは瀧本ゼミに入る前に投資に関心はあったのですか?


「微塵も興味がありませんでした。いまも金融商品に関する投資にはさして興味はありません。興味を持ったほうが得をすることは、表面的には理解できるのですが…

ただし、世の中何を選んで何を捨てるかは、ほとんど投資としか言えないということに気づき、その広義での投資にはとても興味があります。いずれ金融商品にもその流れから興味を持つようになるでしょう」


—-金融商品としての投資にはあまり興味がないのですね。となると、瀧本ゼミで学んだことは、現在はあまり役に立っていないのですか


「いえ、そんなことはありません。生きる力として現実に役立っています。

 瀧本ゼミでは、『これをすると目標が効率的に達成できるだろう』という手段の選択に関する戦略を学びました。とにかくがむしゃらに行動する、というのではなく。数年前のインタビューでは『筋の良さ』として話していたと思います。計算機科学あるいは心理学の分野では、『ヒューリスティックス Heuristic』という概念が最も近いです。

 それが活きた場面が実は新卒の就職活動でした。

アメリカではリファラル(既に働いている社員からの推薦)がジョブオファーを獲得する上で重要になると一般的に言われます。

しかし大学院在学中にインターンに応募したとき、『自分は実力で受かってみせる』と変なプライドを持ってしまい、一切推薦に頼らず、大失敗しました。コロンビア大学は一応コンピュータサイエンスの分野で全米トップ15には入る上、日本ではバイトの経験もいくらかあったため、比較的簡単に内定が貰えるだろうと高をくくっていたのですが、実際の戦績は、8ヶ月かけて100数十社応募して内定は2社のみでした。9割以上は書類で落とされました。さまざまな情報源から推測するに、恐らく履歴書を見られてもいないのだと思います。

 そのインターン先探しがあまりにも大変だったため、フルタイム新卒での職探しは完全に切り替えることにしました。その切替を考えるときの感覚が、瀧本ゼミで調査の方針を切り替えるときの感覚に酷似していたのを今でも覚えています。

自分でターゲット企業でインターンした学生との座談会を設定し、雑談する中で自分のインターンでの成果をさりげなく伝えたところ、座談会が終わったあとに『良かったらリファーしようか?』と、その日初めて会ったばかりの学生から推薦をもらいました。

 結果的にその会社に内定し、自分でも満足のゆく結果にたどり着くことができました」


分析能力とプレゼン技能

 



—-意外なところで瀧本ゼミでの経験が活きているのですね。確かに、瀧本ゼミで学ぶ『ゴールから逆算的に考え、効率的に解を導くという訓練』はどんな分野にも活用できそうですね


「そうですね。もちろん作業的な面でも瀧本ゼミでの経験は活きていて、現状調査や仮説構築(瀧本ゼミでは『リサーチ』と呼びます)のスキルと、人を説得するプレゼンテーションのスキルは日々役立っています。強調しておきますが、瀧本ゼミは決して万人向けの組織ではありません。特にプレゼンへのフィードバックは病的と言ってもいいかもしれません。しかしゼミでの訓練を経て、結果的に僕のそれらのスキルはかなり磨かれた、エンジニアとしてはかなり上位の部類に入るようになったと認識しています。例えば現在の職場では、最初はチームメイトに共有していたスライドの分析結果が評価され、マネージャークラスを聴衆としてプレゼンをする機会に至り、結果的にそのプロジェクトが評価されてその期のボーナスが2倍になったこともありました」


—-羨ましいですね。瀧本ゼミで行う徹底的なリサーチは社会にでてから通用するどころか、社会で求められている水準がぬるくさえ感じるとまでOBOGの方からよく聞きますが、やはり実際に高く評価されているのですね


「そう思います。ただ、はした金よりも何よりも、最も重要な価値は、自分で考えて、自分で決めて生きていく、その生きる姿勢を学んだことだと思います。

その姿勢は、他の職業と違って『この国でしか生きられない』という制約がなく、自分でものさしを選んで居住地域を決める必要があるプログラマという職業人にとって、極めて重要な意義を持つと思います。

恐らく商社に入る人や、クライアント企業によって国をまたぐ必要があるコンサルタントにも共通するかもしれません」


より良い意思決定のために

 


—-まさに、瀧本ゼミのテーマとなっている『意思決定力』ですね。瀧本ゼミでの活動は投資分野以外でしか活きないと思われがちですが、やはりそんなことは全然ないのですね。田中さんのお話を伺っていると様々な場面でこの『意思決定力』が活かされているように感じますが、意思決定の際に気を付けていることなどありますか


「3つあります。どれも、自分ひとりで考えるという戦略を取った際に生じやすいバイアスを補正するものです。

1つ目は瀧本先生も言っている『逆を取る』、すなわち自分と反対の意見を持っている人たちが証拠としているものを調べるということです。そうすると相手側の意見のほうが説得力があることに気づいたり、あるいは根拠薄弱で単に権威性のある人物が言っているから程度の強さしかないことが判明したりして、どちらを選べばよいのか明確になることが多いです。以前にも、アメリカのコミュニティカレッジで政治学の授業をしているPhD持ちの講師の方が、授業の最初に学生に共和党支持者か民主党支持者かを聞き、その逆の党派の擁護をするようにディベートをすることで、学生がよりバランスの取れた見方を身につけるようになると話していました。

2つ目は、自分が悩んでいることを短い疑問文としてまとめ、立場の違う人に共有するということです。立場の違う人は、違う見方をするため、見落としていた観点がごっそりと見つかります。たとえば海外博士留学を考えているなら、国内博士に進んだ人や、学部卒で高ステータスの人、あるいは更に飛んでシェフとして充実とした生活をしている人などに相談すると、自分がこの進路で何を得たいのかが浮かび上がってきます。短い疑問文だからこそ、聞かれた相手は追加情報として尋ねざるをえず、その質問からその人が進路決定で何を重要にしてきたのかが分かります。

3つ目は一度決まったらコミットメントをする、すなわち真剣に取り組むことです。自由を価値観として大事にする一方で、逃れられない恣意的な制約と真摯に向き合い、それを最大限に活かすことです。

 たとえば僕はインターンは上記で書いたように第1志望からはかけ離れていました。しかし一度数ヶ月フルタイムで働くと決まってからは、まるでそれが自分の第一志望であったかのように全力で取り組むように心がけました。最初ちょっと合わないと思っても、チームメイトに相談するなどすると、実は自分の勘違いであったりすることがあります。アマゾンのCEOであるJeff BezosはDisagree and Commitという、自分の第1志望ではないものに対してでもチームが取り組むと決めたら、本気で取り組むというビジネスへの態度で有名です。数年か前の年次事業報告書(Annual Report)に記載されているので、興味があればググッてみて下さい(関連情報)」


—-これから進振りや就活を控える新入生には是非意識して欲しい点ですね。

最後に、これから大学に入学される新入生の方々にメッセージをいただけますか




「コロンビア大学は、恐らく多くの分野で東京大学より上位の大学ですが、瀧本ゼミのような、特異な訓練を積める団体は僕の見た限り存在していませんでした。シリコンバレーで働いていて、そこでの経験が一つの競合優位性に貢献していることは間違いありません。その意味でレアメタルにも似た希少資源でしょう。

僕と似た進路を目指してもらう必要はありません。僕は巧みな専門弁護士も、PhD持ち半導体エンジニアも、時代の心を捉える小説家の人生も知らないから、そちらの方がより輝いているかもしれません。ただ、人材がコモディティ化するグローバル化の時代に、『自分が今いる場所で学べる最も重要な、代替不可能なスキルは何か?』という問いを若い間に考えることは大切なことだと思いますし、もしあなたが東京か京都にいるならば、瀧本ゼミは選択肢の一つかもしれません。大学1年の時に知らなかった、『先輩の進路』のどこを探しても出てこない面白い道が世界には沢山あることを覚えておいてください。

みなさんが、エピソードを繋げないと説明できないような、豊かで面白い人生を送れるように応援しています」

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