瀧本ゼミで思い込みから解き放たれる

TRIさん 東京大学教育学部3年(インタビュー当時)
今回お話を伺うのは、企業分析パート8.5期生のTRIさんです。サムネイル画像は地元の写真、らしい…Tゼミには珍しい教育学部生の彼はどんな考えでゼミにいるのでしょうか?

2年半がかりでの瀧本ゼミ入り

ーTRIさんが瀧本ゼミに入った経緯を教えてください。
「東大の合格発表後、入学前にたまたま書店で手にとった『戦略がすべて』で瀧本先生の事を知り、1年生の新歓の説明会に同クラと出てそこでの発表とフィードバックに圧倒された事を覚えています。しかし地方の公立高校から単独での入学だったこともあって情報環境が整わなさすぎていたこともあり、今の自分にここは無理だと判断したため、ESすら出しませんでした。しかしその後も鮮烈な印象は薄れず、先生の著書を拝見したり、学部向けの特別講義を受講したり、段々と徹底的なリサーチに基づいた仮説検証思考に頭を慣らしていきました。最終的にゼミの友人から誘われて入りました。」
ーその意思決定は正解でしたか?
「自分は結構学業もサークル遍歴も迷走していて、たとえば一度進振り後にミスマッチを感じて転学をさせてもらっているほどなので、もう少し早く意思決定技術を学ぶことができていればな…とは思います。ただ、あまり早く入ると自信を過度に喪失していただろうことは間違いないので、案外満足しています(笑)。fitしていなければfireされるので、とりあえず入ってみるのも良いかもしれませんが、メンタル強くない人はやめておいた方が良いかもしれませんね。」

情報検索・意思決定・自由

ーTRIさんが瀧本ゼミで学んだことはなんでしょうか?
「パッと思いつく事は五つあります。
一つ目は重大な意思決定を下す際に取り入れるファクターの量、プロセスの細分化の度合い・プライオリティの付け方には大きな個人差があるが、訓練次第でより場面適応的・アドホックな精度高い意志決定が可能になる事です。『戦略的に戦略的な企業か戦略が壊滅している企業を探す』と個人的に表現していますがゼミ生それぞれリサーチに好んで使う手法も、リサーチを諦めて切り上げる段階も、見ている時間軸も異なっています。自分は入ゼミまでに少しは情報収集に自信をつけていましたが、ゼミに行くたびにそれは相対化され、反省を促されました。雑学的知識=ノイズをスルーするスキルや定量的に評価した上で重要なファクターにはリソースを大きく突っ込む事を厭わない度胸は今もまだまだですが、自分の弱みに自覚的になりました。

二つ目は各種メディアと人間心理を読み切り、市場の参加者の知識状態の分布を推定し、どこまでが株価に織り込まれているのか見抜く事の難しさ、それについてくる面白さ。開示情報や主要メディアの言説を鵜呑みにせずに調べ上げるとともに、誰が鵜呑みにしそうか考えて行くのって、慣れないうちは難しいです…なお、まだ慣れていないです。これはfire回避にとっては気休めというか、個人的には長期投資の類ですが、Tweetdeckで同じ事象に対しての着眼点が異なりそうな分野の人を集めたリストを10リストほど作り暇な時に見ておくようになりました。もう少し細分化するかもしれません、これは8割方Twitterがそれ自体楽しいからできているのですが(笑)。いつか面白い銘柄の発掘につながればいいなと。「皆が〇〇だと思ってfいるけれど実は〜」というストーリーが詰まったTゼミのドライブ内の資料や発表を見ていると心躍りますね。

三つ目は情報はインターネット外に偏在している事。瀧本ゼミの発表評価では「カタリスト」(株価を上げる事につながるゆくゆくは開示されるだろう情報)や「インサイト」(誰も気づいていないし知られないだろう企業の強み)が含まれる事が好まれます。それらを弾き出すには対象企業や同業他社のIRへの電話取材や足を使った調査が必要不可欠のようです。私はまだできていませんが、少なくとも「どこまでやれば勝てる確率が上がるのか」水準が実感できた事が自分にとって大きな財産です。

四つ目は公開情報だけでも思いの外有用な示唆が得られるという事。三つ目の後にこれを持ってくるのもおかしいかもしれませんが、検索方法を工夫し、データを組み合わせればわかることは案外多い事がわかりました。私は高校までインターネット検索をほとんど利用できない、少なくとも身近にはない環境で育ったので、おそらく大方の大学生よりその辺発達が遅いのですが、今となっては問題に直面した時「調べりゃ案外わかるかもな」という気持ちになれています。余談ですが、瀧本先生は家の購入に地盤などのデータも見ていたようです。

五つ目は毛色が違いますが、資本主義は、資本家は、それ自体は全然悪者じゃないってことです。大学に入るまで資本家ってものをテレビでしか見た事がなく、入学後しばらく労働者の権利保障など社会問題を扱う類のゼミに所属していた経験から、恥ずかしながら資本家一般を悪魔化していたところがあったのですが、偏見はだいぶ解けた気がします。一部の人格破綻者やマネージャーとして無能な人をマネジメントに立たせてしまうような制度や、生産性が向上しないシステム・組織体質の方を変えたくなりました。

五つ、どれも、限られた情報と認知バイアスに基づく思い込みから自由になる事に関係していますね。」

ー沢山のことを学ばれていますね。逆に、期待外れだったことってありますか?
「期待外れというか、意外だった、という受け取り方をして欲しいんですが、インストールすべきと決められた体系化された知識があまりなかったんです。でも思えば当たり前で、数年前と今の市場の状態は違うし、それが共有可能な形にされていない事が投資の参入障壁になっているのでした。そもそもゼミの発表の質も年々上がってきているから、周囲をよく観察する事が一番の成長の近道なんですよね。実践の中で自学・観察・反省、そして相互フィードバックできる人しか残らない。逆に言えば、だからこそ誰でもできるようにする風土は育たないんですよね。これは社会学徒として見ていて面白かったです。」

市場と教育の繋ぎ手に

ーTRIさんはゼミ生で唯一教育学部に在籍されていますが。
「ええ、一応教育社会学が専攻です。学校の内部文化の参与観察とか格差等の社会調査とか政策過程分析とか大学と就労の接続とか幼年〜高等までの教育の国際比較とか新自由主義の進展への批判とか、そういう事をやるところです。そこで勉強していくとどうしても市場・資本主義を嫌いがちになる、気がしているんですよね。某B社とか某団連とか典型ですが。しかし、たとえ過度な市場の参入を拒むにせよ、相手側の『ロジック』を理解できていなければ、効果的な反駁や効率的な制度設計はできないだろうと思います。どちらもこれから学習を本格的に進めていきたいと思っていますが、さしあたり、ゼミで知己を得る事自体が私にとって投資的な活動です。最終的には教育政策にも影響を及ぼせるポジションをとりたいので、政策分析パートに移ることも検討しています。まぁまず企業で発表する事が先ですが…」

ー発表していないんですか?

「うっ、すみません。興味が分散しがちなもので…私はここまでの文章で何となくわかるかもしれませんが、バランスよく学び続けようとしがちで、難なくできるようになるまで人より時間かかるタイプなので…半年のfire期限だけは個人的に本当に嫌ですね。まぁこの制度、エリート主義だとか何だとか叩かれがちですが、実際高いパフォーマンスを組織的に維持するために必要なんだとよくわかるようになりました。こういう論理がまかり通る場所と関わってみるというのは貴重な経験になるかと思います。」

ー最後に新入生に一言お願いします!
「私をゼミに誘ってくれた人は『瀧本ゼミ的じゃない人だから入って欲しい』と言ってくれたんですが、ゼミ内でパフォームできるかは別として(笑)、自分の幸福度を担保しながら社会の福利も引き上げたいと思っている人には、分野問わずぜひ検討して欲しいです。投資判断とフィードバックを高い水準・頻度で観察できる環境に身を置くことは知的訓練として大変良いと思います。当方が現役ゼミ生としてかFIREされた人としてか分かりませんが、いずれ、この記事を読んでくださったあなたとゼミの話ができることを楽しみにしています。いずれというのは在学中に留まりません。そういう繋がりを求めて私はゼミにいます。」

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