瀧本ゼミで学んだ「まあまあレベル」を超えるマインド

余越優さん 東京大学経済学部経営学科3年(インタビュー当時)

今回お話を伺うのは、企業分析パート前代表(当時)の余越さんです。
余越さんは2018年春に瀧本ゼミに入り、2018年末から代表を務めていました。

「ド」が付く素人だと思い知らされた最初の半期

ー 余越さんは、瀧本ゼミに入る前からそれなりに企業分析に必要な知識やスキルを持ち合わせていたんですよね

 そうですね。何をもって必要な知識やスキルと言うかは難しいところですが(笑)、もともと企業の経営とかに興味があったんですよね。だからニュースは新聞もネットもかなり読んでましたし、高1で簿記を取って、四季報を読んだりしていた。

ー最初は企業分析未経験者が多い瀧本ゼミでは珍しいですね

 特に春入会は、投資も企業分析も未経験で入ってくる人が多いですからね。こう書くと驚かれるかもしれませんが、その中では逆に「マイノリティ」でしたよ。

ーそうすると、最初から結構、活躍されていたんですか?

 滑り出しは同期の中では良かったと思います。財務諸表が読めて、基本的なビジネスモデルが頭に入ってたので、最初のインプット期間を短縮してリサーチに入れました。

けど、ここから結構苦労したんですよね。

ーほう

 財務諸表とビジネスモデルが分かるので「この企業はこういうことをしています」とは的確に言えるんですよ。けれども、それじゃネットの情報と数字をまとめただけ。先輩に話してみても「それで?」で終わっちゃうんですね。

ーゼミではネットの情報をまとめただけの発表に、皮肉を込めて「お疲れさまでした」「すごいです!」と言いますよね

そうそう(笑)

 みんなが知ってる情報は無価値で、自分が先輩に見せていた発表は、今思えばまさにそれですよ。けど本当にしんどかったのは、本発表まで行ってからですね。それは次の項に譲りましょう。


卓越!卓越!卓越!

ーメンタリング終了後は、どうだったんですか?

 最初に20社くらい軽くピックして、そこから砂金を選別するような要領で、3社くらいまで絞り込んだんですよ。その中の1社がたまたまいい感じの会社だったので、その会社をかなり調べ込んで、確信を持ったのでこれで1回目は行こうということになりました。

ー最初から本命企業を見つけるあたりはさすがですね

 いやいや、これは運が良かっただけで、四季報を読んでたらたまたま高校時代にプログラムでお世話になった会社があったんですよ。

 サイボウズっていう老舗のソフトウェア企業で、社長の青野さんが夫婦別姓訴訟で有名になったり、自然豊かなオフィスを抱えながら副業、在宅、フレックスなど柔軟な働き方を取り入れていたり、何かと老舗ながら先進的な企業なんです。

ーそういう意味では、当時からそこそこ知名度ありましたよね

 そうですね。あんまり「有名」であることはゼミでは好まれないんですが(笑)

 けど、着眼点は全く違うところにあって。当時、サイボウズって売上が毎年コンスタントに5年間くらい上がっていて、一方で利益は出たり出なかったり、そんな感じだったんです。で、調べてみると、ソフトウェアの新規販売が「クラウド版」なるものに急速にシフトしていたんですよ。

ー音楽で言えばCDがパッケージ版で、LINE Musicなどがクラウド版、そんな感じですよね

 そうです。CDとサブスクの関係が分かりやすいんですが、CDって1回買ってしまうと終わりじゃないですか。けど、サブスクって毎月定額をユーザーは払い続ける。つまり、一般論としてクラウド版の方が儲かるんですよ。

ーなるほど。で、それを軸に発表を組んでいったと

 新規事業の成長と二本柱だったんですが、まあそういうことですね。パッケージ版とクラウド版の収入シミュレーションを組んでみたら、全然、儲かり方が違う。しかもクラウド版の方が使いやすい。これは爆発的に伸びると思いました。

 入ってから1ヶ月半、6月末でのスピード発表となりました。

ークラウド化って熱い分野ですもんね。瀧本先生もご満悦でしたでしょう?

 いえ、3枚目のスライドくらいで襲いかかられて、1時間、マシンガンの如く論理の礫を受け続けることになりました。質問に対する回答を考えて、回答したと思ったら次の質問が超早口で飛んでくる。そんな感じです。

ーええ、南無阿弥陀仏

 3期上のゼミ生に「ここまで襲いかかる瀧本先生は久しぶりに見た」と言われましたもん。論理の礫が飛び続ける1時間。今思えばよく耐えたなと(笑)

ー何がいけなかったんですか?

 冷静になって、あそこまでフルボッコにされたのは5つの要因があったと思います。3つはネガティブ、2つはポジティブな要因です。

 まずはネガティブな方から。まず1つは、自分が全然ビジネスモデルの本質を理解できていなかったことです。クラウドビジネスというインサイトを捉えながら、その本質である顧客獲得コスト(CPA)と顧客生涯価値(LTV)に言及がなかったり、確かにクラウド化は進んでいるんだけど、そのロジックがふわふわしてたり。

2つ目は、無駄に長かったことです。変なリサーチ力と根気があったので、調べたことをポンポン発表に盛り込んでたら、70枚くらいになったんですよ。けれども、本質情報が載ってない。MECEなんて巷では言われますが、モレがあり、ダブりがあったのです。

3つ目は、これが本質ですが、前の発表からの改善がなかったことですね。実はこの本発表、修正を加えた2回目だったんですよ。1回目で瀧本先生やアルムナイからアドバイスを色々もらったのに、それを踏まえられていなかった。学習せずに中途半端なクオリティを再度持ち込んだので、先生の逆鱗に触れたのでしょう。

ー大変ですね。。。

 次にポジティブな要因です。1つ目に、荒削りながら骨格はある発表だったこと。中身のない発表は数分で燃やし尽くされて終わってしまうのですが、そこそこ調べられていて、ストーリーは汚かったですがインサイトは確かにあったので、論理の礫を受けながらも、なんとか応酬できたんですよ。

 耐えられる発表だと思ったからこそ、力を込めて燃やしてくれる。思い違いだったら恥ずかしいですが(笑)、これは瀧本先生の愛が垣間見える部分でした。今となってこそ気づくものですがね。

2つ目に、やっぱ良い銘柄だったんですよ。自分たちは投資家の立場であって、企業に経営面でどうこうするってことはできないわけですから、銘柄選定が発表の良し悪しをだいぶ決めるんですね。悪い銘柄だと「これはダメですね」となってしまう。そう考えた時に、サイボウズをあのタイミングでピックしたのはかなり良いセンスだったんです。

 実際、自分が2018年前半に見抜いたクラウド化の威力は徐々に市場の知るところとなり、当時250億円くらいだった時価総額は2020年2月で1200億円まで行きました。直近はコロナで700億円くらいまで下がってますが、それでも2倍は優に超えています。

ーそれはすごいですね。で、これらが重なって、ここまで厳しい発表になったと

 ええ。けれどもこの経験からは本当に多くのことを学びました。

 その中でも一番大きいのが「まあまあレベルで満足しないこと」「卓越を志すこと」ですね。これは瀧本ゼミの全てを貫通する根底の価値観みたいなものです。

ー”Only Outlier Can Outperform”だぞと

 よく言われる言葉ですね。瀧本先生は亡くなってしまいましたが、僕たちのような上回生が体現して引き継いでいかなくてはならない価値観です。

 これは単に発表をめちゃくちゃ頑張るということではなく、ゼミ外で自身が取り組んでいることであったり、卒業後のキャリアだったり。色んな代のゼミ生にピアプレッシャーを受けながら、人生を頑張っていくということです。

2年間の活動を終えてみて

ーでは最後に2年間の活動を終えてのコメントをお願いします

もう2年間終わっちゃったのかという感じはしますが(笑)、上の発表であったり新歓代表であったり、直近では投資コンテストであったり、この組織では本当に貴重な経験を重ねたなと思います。最後に瀧本先生が8.0期生を迎えた食事会で言ってたことが印象的で取ってあるので、紹介しますね。

「今回の新歓の倍率は10倍近くて、ただそれではスクリーニングとして不十分で、おそらく半年で半分は消えると思います。つまり東大生の中で倍率20倍くらいでやっとちょうどいいレベルのことを私はやりたいのです。なので、ここで全力で取り組んで、それでFireされることはさほど問題ではありません。Fireされた後に社会で活躍しているOBはいくらでもいます。ここはレベルが高い以上にリターンの不確実性が高い環境なので、努力が報われるとは限りません。ただ、努力で可能性は上げられます。その努力を最大化するためのポイントは謙虚であること、素直であること、数を重ねることです。頑張ってください」

 「謙虚であること、素直であること、数を重ねること」

 前に言ってることに比べて、最後のアドバイスは驚くほど凡庸に思いませんか?

 けれども、確かにこれを忠実に守ることがどんなことにおいてもKeyだなと、これを書いていて改めて感じさせられました。新しい仲間をお待ちしています。

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